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Appleの「Mastered for iTunes」、CDとどう違う? 44
興味深い結果に 部門より
先日AppleがiTunes Storeにおいて、「Mastered for iTunes」というiTunes専用のマスタリングが行われた楽曲提供を開始した。このマスタリングは従来のフォーマットとどう違うのか、英国のマスタリングエンジニアIan Shepherd氏が分析している(CE Pro Blogs、本家/.)。
「Mastered for iTunes」は、アーティストやエンジニアの意図通りのサウンドを楽しむことを目的としたマスタリングとのこと。Shepard氏はロックバンドRed Hot Chili PeppersのアルバムについてMastered for iTunes版と従来のAACフォーマット版、そしてCDに収録されている楽曲という3バージョンの比較を行ったとのこと。
その結果、CD版とMastered for iTunes版との波形の違いは、CD版と従来のAAC版との違いよりも大きかったという。つまり、「CDにより近い」という点では従来のAAC版に軍配が上がったそうだ。これはよりロスの少ない圧縮を目指して多くのエンジニアがエンコーダーに力を注いできたことの証でもあるという。
Mastered for iTunesはCDからマスタリングされたAACフォーマットよりもより高品質、高解像度な音を楽しめると謳っており、CD向けにマスタリングされる前のオリジナルマスターからの変換が可能なのは事実だそうだ。ただし現在の曖昧なマーケティング方法では単なる「販売戦略」であるとのクレームが出てきても不思議はないとShepard氏は指摘している。
Appleによる解説によると、Masterd for iTunesの楽曲ではiTunes Storeへのデータ送信の際、CDで使われている16ビット/44.1kHzというフォーマット以外のマスター(Appleは24ビット/96kHzを推奨している)を受け付けている模様。レーベル/アーティスト向けにAppleが利用するのと同じエンコーダやプレビューツールなども提供されている。
いちおうマスタリングもやってるエンジニャーっす (スコア:5, 参考になる)
専門というわけでもないので、間違いがありましたらご指摘くださいませ。
制作側からすると、新しいことを言っている点は特に見当たらないです。ハイビットPCMから直接エンコードするメリットはそこそこ知られていますしね。
(MP3やAACといった周波数領域でビット数減らして記録する系コーデックで、周波数領域での値のビット数は時間領域の値のビット数とは無関係であるため、エンコード・デコード時は浮動小数点で計算されることが大半です。そうするとエンコーダ入力のビット数は大きくても問題ない。逆に下手に16bitにすると、元音とディザノイズの合計をエンコードする羽目になるという。ってAppleのPDFにも書いてありましたね。)
付属のAudio Unitについては、Sonnoxが出しているMP3の圧縮結果をモニタできる製品と同じ方向性です。「iTMSに提出した後に施されるのと同じエンコード」と「デコード」を一度に行い、デコード結果をその場で聴くことができます。従来は"エンコード時の音の変化を見越した調整"というやつが必要で、要するにエンジニアの勘と経験だったのですが、これを通すとエンコード後の音を聴きながら音をいじれるのでイメージ通りに仕上げるまでの試行錯誤を減らせてハッピー、という代物。
同じく付属のサンプルレート変換ですが、こちらは品質の良いサンプルレート変換ツールという位置づけですね。特に48kHz系と44kHz系のサンプルレート変換は重く、多くの製品は途中に入るフィルタの実装を手抜き(タップ数減らす→削っちゃいけないところも削る)して実用的な速度にしています。そのあたりを計算量削減より品質に振って設計したものと推測しています。
プリマスタリングの仕事の重要な部分として最終メディアを見つつのサウンド調整というのがあるわけですが、そこらへんをすっ飛ばして「(最終メディアを考慮しない)高品質マスターからの変換が正義」っていうMastered(略)の方向性は、個人的にはすこし乱暴かなー…という気はしています。まあ、実際問題として多くのケースでマスタからの自動変換でそこそこ通用するとも思いますので、単に作る側としてのバイアスから来る無益なこだわりである可能性もあるのですがw
この方式が広まったときの話ですが、最終メディアを考慮しないマスタから直接エンコードされたファイルを再生すると「物足りない」という感想になる人が多いかと思います。ポータブルデバイス全盛の昨今、ダイナミックレンジを圧縮したり少しの歪みには目をつぶったりするマスタリングが施されてリスナーの元に届くことが多く、リスナーの耳がそういうサウンドに慣れてしまっているのと、人間の耳は音量が大きいほど良く聞こえる特性がありますので(※上げすぎるとクリップして逆に印象が悪くなりますが、そのラインは意外に高いところにある)、圧縮や歪みの少ないサウンドの方がパっと聴きの印象は悪くなってしまうためです。
そこらへんのいわゆるラウドネス・ウォーの対策としてITU BS 1770といった規格が浸透して無理な音量稼ぎのないサウンドが広まれば、リスナーの耳の学習も解除されるとは思うのですが、それがいつになるのかはまだ予測が立ちませんねー。
長くてすんません。
Re: (スコア:0)
「プリマスタリングの仕事の重要な部分として最終メディアを見つつのサウンド調整というのがあるわけですが、そこらへんをすっ飛ばし」た場合はMasterdには指定されません。Masterdの認定を受けるためには、サウンド調整が必須になります。
高品質マスターからの変換は従来から行われています。
Re: (スコア:0)
理解がてんでダメですねー
> 「プリマスタリングの仕事の重要な部分として最終メディアを見つつのサウンド調整というのがあるわけですが、そこらへんをすっ飛ばし」た場合はMasterdには指定されません。Masterdの認定を受けるためには、サウンド調整が必須になります。
ネットの聞きかじりレベルの理解ですね。
プリの付くマスタリングはMasteredな成果物を作成しません。Masteredな成果物を作成するところの、プリの付かないマスタリングは大量複製(プレス)に納入できる成果物を作る工程ですので、サウンド調整は含みません。
> 高品質マスターからの変換は従来から行われています。
その通り。音を加工する場合はハイビットハイレートは効果的ですので。
むしろ、どういう意図でのご指摘なのか理解しかねます。
差異 (スコア:2)
Mastered for iTunesの方が、辛い。
マスタードだし。
Re: (スコア:0)
粒入りなのかもしれませんね
ちょっとよく分からない (スコア:1)
マスター → Mastered for iTune (1)
マスター → CD (2) → AAC (3)
で(1), (2), (3)を比べて(2)と(3)が近いと言っても何の意味もないように思うのですが誤解していますかね?
マスターと(1), (3)を比較しないと定性的にすら評価できないと思うのですが.下手をすると同じマスターでない可能性すらあるのに.
Re:ちょっとよく分からない (スコア:2)
>CD向けにマスタリングされる前のオリジナルマスターからの変換が可能なのは事実だそうだ。
→この行間を読まないといけない←
>ただし現在の曖昧なマーケティング方法では単なる「販売戦略」であるとのクレームが出てきても不思議はないとShepard氏は指摘している。
オリジナルマスターからの変換が可能なのは事実だが、現実にはCDからのエンコードだ(と仮定している)という話ではないでしょうか。
Re: (スコア:0)
一般のリスナーはマスターの存在を意識していないので、(2)と(3)の間の劣化度合い=エンコードの質の認識。
つまり、(2)と(1)の差>(2)と(3)の差である場合、(1)の音質が悪いと認識される可能性もある、そしてそれがクレームにつながり得る、という指摘なんじゃないかな。
そしてこのクレームはマスターと(2)の差>マスターと(1)の差であっても発生する可能性があるわけで。
技術的ないし定性的評価が直接消費者の評価にはならないから、販売戦略上留意した方がいいよ、という指摘は妥当だと思う。
Re: (スコア:0)
そもそも、「アーティストやエンジニアの意図通りのサウンドを楽しむことを目的とした」が極めて主観的な表現なんだよね。
そのエンコード成果物を実際にアーティストに聞かせて、
「従来のデータよりも好ましい」と言うお墨付きを得ているなら、
その点のみを強くアピールすべきなんだと思う。
いわば「アーティスト主観の評価」を看板に掲げるサービスなのだから、
主観は主観として純化して訴求すべきで、技術的なアピールと混同するのはあまり宜しくない。
Re: (スコア:0)
> 従来のデータよりも
そんな比較の仕方じゃ本人すら無意識のうちにバイアス入りまくりじゃん。二重盲検法で評価してもらわないと。
ああ、「好ましい」と言ってもらわないと営業的に不都合だから意図的にバイアス入れてるのか、こりゃ失礼。
Re: (スコア:0)
そもそも「主観」ってのはバイアスも含めてのものなんじゃないかな?
本来ならエンコードも含めて「アーティストやエンジニア」が立ち会って(あるいは自ら)チューニングするもので、
自ら意図してその様に調整して作っているのだから、バイアスもへったくれもないんじゃない?
そこで二重盲検法なんて言い出すのは妙な話に思える。
Re: (スコア:0)
つまり。
カレー屋は本格カレーを作って売るけど、もしかしたら客は普段食べ慣れているリンゴとはちみつが入ったカレールーの味と比較してまずいと言ってくるかも知れないから気をつけろ、みたいな話なのかな。
だからカレー屋は単に「同じカレーですがよりおいしいカレーを提供します」と宣伝しては駄目で、「カレー本来のレシピをもう一度見直した、本格派カレー」と宣伝しないと誤解されるよと言うことかいな。
これおそらくSACDでは起こらない事だよね。
音楽配信されている音は、CDよりも音が悪いと言う先入観が根深いって話である気もする。
Re:ちょっとよく分からない (スコア:2)
現実のオーディオシステムなんて最終段までオープンループなので、途中の要素の伝達関数を1に揃えることは唯一解ではないし、現実的な解でもない。
SACDとSACDと同じ周波数分解能、強度分解能の別フォーマットの比較をしても、差は生じるし、そのいずれがましであるかという議論にさしたる意味はない。ステージから耳に入るまでのあらゆる段階で伝達関数が調整される余地があるのだから。
Re:ちょっとよく分からない (スコア:2)
昔、スピーカーから出た音をマイクで拾ってフィードバックをかけるというクローズドループな
システムが試みられてたことがあった覚えがある。アナログで試みられたのと、DSP使ったのとあったと思う
アナログは位相がメチャメチャになるから難しそう
そんな風に頑張っても伝達関数は1にはならないのですけど
Re: (スコア:0)
いや、スピーカーからマイクなら伝達関数を1にする解はあるでしょ。たかだかオーディオ帯域でそれができないわけがない。
耳とマイクの周波数特性の差はそれと別に計らないと意味ないけどね。
Re:ちょっとよく分からない (スコア:2)
耳の特性はあまり関係ないと思いますけど、やるとするなら両耳の穴に
小型マイクを突っ込んでおいてインパルス応答とか取って、それに基づいて
DSPで計算しつつ音を出すという感じになりますか。
その場合でも、周囲の壁などの影響があるので音楽を聴く間は頭をデータを取った時
の位置に完全固定するという拷問が必要になりますね。あと温度変化による空気密度の変化も
厳禁しょうし、湿度なども管理しないと完全ではない等々、解にあたる完全なそれは
実現が極めて困難ですよ。
で、そこまでしなくてもいいよレベルは過去に試みられていたかと。
スピーカー-空気-マイクという厄介なものどもを系から除いたループが
アンプのネガティブフィードバックで、これはごく一般的ですね。
Re:ちょっとよく分からない (スコア:2)
>実現が極めて困難ですよ。
何を今さら。
音源(人体+楽器)→空気/部屋→マイク→ケーブル→ADC→アンプ→ケーブル→記録装置→再生装置→DAC→ケーブル→アンプ→アンプ→スピーカー→空気/部屋→外耳→中耳→内耳→脳
演奏家なら脳がもっとも快感を感じるように音源にフィードバックする。
Re:ちょっとよく分からない (スコア:1)
すんません、書き方がまずかったですね。
これおそらくSACDでは起こらない事だよね。
音楽配信されている音は、CDよりも音が悪いと言う先入観が根深いって話である気もする。
これは「SACDなら同じ音になるはずだ」と言う事を言っているんじゃ無くて、SACDなら始めからCDを超えるものとして認識されているから、こう言ったマーケティングの問題は生まれないだろうなって事です。(あるいはSACDは、そうなるように綿密に始めから売り込みがなされていた)
カレー屋の例だと、高級ホテルのレストランが提供するカレーだったら始めから家のリンゴとはちみつ入りルーのカレーとは違うものとして認識されているから、味が違うことを根拠にまずいと言われる事も無いし、口に合わなくても「うちのカレーと違うからまずい」という結論にはならんのではないかと。逆に市井のカレー屋は自宅のカレーと同レベルと認識されがちだから、そういった評価軸にのってしまうと言う…。
で、音楽配信でなされている音は、実際にはすでにCDを超える情報量を持たせることは可能なわけだけど、結局「CDの劣化版」という認識が根強いから、もうちょっと別もんですよとマーケティング方法考えた方がいいんじゃないか、と言うことなのかと。
ファン目線 (スコア:1)
もう何十年も前から、ミックス違いバージョンが入ってると言われちゃ買い、
デジタルリマスターだと言われちゃ買い、
紙ジャケ仕様と言われちゃ買い、と、さんざん好きなアーティストにお布施をしてきた。
オレに限らず同世代のロック好きなら大体身に覚えがあることと思う。
だから、このストーリーのタイトルを見た瞬間
「またオレは搾取されるのかあああっ!」
と、マゾ的な快楽を含んだ絶望に目の前が真っ暗になったのだ、が、
なんか、今度のはそそられないんだよな。
単に「iTunes/iPodで聴くための最適化」でしかなく、
アーティストが作る「作品」のくくりには入れにくいからかも知れない。
だから、オレみたいな人間からもっと搾り取ってやろう、みたいなもくろみで始めたことなら
多分肩透かし食らうと思うよ。Appleさん。
Masteredという言葉を使うのはおそらく敢えてなんだろうけど、
作品そのものと言える「Master」と語呂を似せたからって
そんなからくりはすぐバレますって。
Re: (スコア:0)
搾り取ってやろう目的ならもっと広報するだろうし、レーベルとも手を組んでプッシュするんじゃないかなあ。
今回のようなパターンはiTunesを資産の主軸として音楽管理するつもりの人でなければ手が伸び辛いだろうねえ。
CDを音楽資産の主軸として管理しているから、CDのリマスタリング盤を購入する気になるのであって。
CDでもリマスタリング商法は行われてたし (スコア:0)
それの延長線上と考えれば問題なさそうに思える。
Re: (スコア:0)
CDだと買い直しになるけれど、このシステムの場合iTunes Matchを使えば自動的にMasterd for iTunesに置き換わるので、ちょっとちがうと思います。
業界の特殊性 (スコア:0)
音楽業界はBlu-Spec CDみたいなもんが成り立つ業界だし何でもアリなんじゃないですかね。
普段iTunes+iPodでしか音楽聞かない人が、CDリッピングするより価値があると思ってマスタード版買ってくれれば儲け、ぐらいのもんだと思っておけばいいのかもしれませんが。
マスタード版 (スコア:2)
「音が鼻に抜ける」とかの評価がオカルト系オーディオブログに書かれそう.
だから? (スコア:0)
> その結果、CD版とMastered for iTunes版との波形の違いは、CD版と従来のAAC版との違いよりも大きかったという。
仮にオリジナルのマスターからみてCD版はある程度の劣化があるとして,
Mastered for iTunesはオリジナルからの劣化の程度が小さいとしても,
そういう比較結果になるかもしれない.
> つまり、「CDにより近い」という点では従来のAAC版に軍配が上がったそうだ。
まあ嘘ではないかもしれない.Appleの言い分とも矛盾していない.
AACの仕様 (スコア:0)
AACの256kbpsって20kHz以上は全てカットだったと思うけど
その辺の仕様は変更したのかな?
Re:AACの仕様 (スコア:2)
サンプリング定理というやつでサンプリング周波数の1/2(ナイキスト周波数)より上には折り返しがあり
記録できないというのはデジタルオーディオの話で、AACは関係ないですね。
CDも22kHzより上は使えない。アナログのローパスフィルタでカットするので、実際には
22kHzより低い周波数からダラ下がりになります。
非可逆圧縮ではさらに、圧縮率を上げるために聴感補正を使うので、それで高域が落とされる
ということはありますな。
Re:AACの仕様 (スコア:2)
ローパスフィルタのカットオフ周波数って別にAACの仕様として決まってるんじゃなくてエンコーダ依存だった気がする。
ffmepgの内蔵エンコーダーだと-cutoffで指定できます。
CD音源じゃなくて48kHzや96kHzの音源がつかるのなら20kHzじゃなくてもっと上の周波数で切るようにするでしょう。
#それでも低周波数域の音質重視でやっぱり18kHzとか20kHzで切るエンコーダが使われるかもしれんけど・・・
#高帯域がなければより低帯域に情報量使えるわけで。
Re: (スコア:0)
>>AACの256kbpsって20kHz以上は全てカットだったと思うけど
新しいエンコーダは20kHz以上も通すようにした/デコーダはサンプリング周波数を示すタグを書き換えたデータを受け付けて20kHz以上も再生出来るように最初からちゃんと作ってある~という可能性がある
非可逆圧縮の場合、デコーダのアルゴリズムは同じなのにエンコーダの改良で音質が向上するという不思議(?)なことが起こる
(だからデコーダのアルゴリズムは公開されているが、エンコーダが非公開になっている場合がある)
Re: (スコア:0)
H.264みたいに圧縮ストリームがビット単位で参照実装と一致しないと適合とはみなされない仕様でもそういう最適化の余地あるの?
Re:AACの仕様 (スコア:2)
それはデコーダ側の問題ですね。
だから、基本的には「同じ圧縮データをデコーダに入力した」場合は、「デコーダを替えても伸張結果は変わらない」ことになります。
でも、圧縮側では、たとえ可逆圧縮でも、伸張結果が同じになる圧縮符号がただ一通りとは限りません。効率よく圧縮されたデータもあれば、効率の悪いデータもありえる。
例えば、GIF画像なんかで、LZW特許問題が出たころには、「LZWデコーダで伸張できる非圧縮データ」とか「LZWデコーダで伸張できるランレングス圧縮データ」を使ったGIF画像が結構出回ってました。これらなんかは、どれも伸張すればまったく同じデータですが、圧縮サイズは全然異なっているわけです。
H.264などのような動画圧縮の場合、可逆圧縮である「動き予測」という時間方向差分抽出の処理が非常に重く、またこの部分の出来不出来によって、圧縮後のサイズは大きく変わります。
さらに、ビットレート固定で考えた場合、可逆圧縮な部分での圧縮効率に違いが出ると、その後の非可逆圧縮部分に影響が出ます。
可逆圧縮部での圧縮効率が良い場合、非可逆圧縮部であまり情報を捨てなくても所定のビットレートにできますから、結果として再現率が高い、高画質な映像になります。一方、
可逆圧縮部での圧縮効率が悪い場合、非可逆圧縮部でたくさん情報を捨てないと所定のビットレートにできませんから、結果として再現率が低い、低画質な映像になります。
そういった「エンコーダによる画質の違い」が出てきます。
そのうえ、非可逆圧縮では、圧縮側には「どの情報を捨てるか」の選択の余地があるわけです。MP3やAACなんかは「心理学的に人間の耳には認識されにくい部分の情報を捨てる」ことで非可逆圧縮してますから、その部分のチューニングとして、エンコーダによっては最適化というよりも「味付け」「方向性」の違いが出てきます。
以上のような点から、「エンコーダを替えたら、伸張結果が出力が変わる」とか「エンコーダを改良したら高画質/高音質になる」とかいうのはごく当たり前の話になります。
ちなみに、H264でデコーダ側でビット単位での正確さを求める理由ですが、
それは動き予測/動き補償の処理に原因があります。
動画圧縮でのエンコーダ側の「動き予測」に対応するのが、デコーダ側の「動き補償」によるデータ伸張処理なわけですが、動き補償では、不可逆圧縮されたデータの伸張結果を元に、「時間方向差分からの元画像の再現」を行います。
そして、その出力である画像は、また別時刻の画像を伸張する動き補償処理の入力として使われることになりますので、
不可逆圧縮の伸張結果が正確さに欠けるデコーダ実装では、その誤差がどんどん蓄積されていってしまいます。
そのため、「デコーダによっても不可逆圧縮なデータの展開結果が変わらない」ことを保証できているということが非常に重要なのです。
Re: (スコア:0)
要は「H.264でビット単位で参照実装と一致を求められるのはデコーダの実装(#2108893で言うところのデコーダのアルゴリズムは同じ)であって、エンコーダは改良や味付けの余地がある」ってことですよね。
ただまぁ世の中でデコーダ扱いされてる物の中には参照実装に一致するデコーダの後段でエフェクト掛ける奴もあるわけで。
エンコーダもその実装の一部(フィードバックに使うデコーダ)は参照実装との一致が求められてるんですよね。
それをエンコーダも参照実装との一致が求められてると呼んでいいのかは疑問ですが。
ウチのロイヤルティーが高いのには訳が有ります、、みたいな (スコア:0)
お高いロイヤルティーに付加価値を付けたと言うことなんでしょうが
良識ある制作者は以前からCD用、配信用、TV用等々個別にマスタリングしてた訳で
こんなpluginも有りますし
http://www.sonnoxplugins.com/pub/plugins/products/pro-codec.htm [sonnoxplugins.com]
今更過ぎ
Mastered for iTunesのマスタリングツール (スコア:0)
どの程度調整してくれるのかは使って無いので分かりませんが、MP3で提供するならMP3用のマスタリングをしますので、こういうお手軽ツールがあるのはうれしいかも。
Re: (スコア:0)
公開されているのは、Appleがこれまでに使っていたエンコーダーです。AACへのエンコードはAppleが今まで行なっていたので、それをマスタリング・エンジニアが自分で試せるようになったというだけです。このツールで出来上がったAACファイルを試聴しながら、エンジニアがAAC形式に最適なMasteringを行います。
という題目の (スコア:0)
宗教としか思えませんが。
そのCDとの波形の差が、聴く人にとって有意の差がでるものなのですかねぇ…
Re:という題目の (スコア:1)
appleが配布しているMastered for iTunesガイダンスには以下の記述があります。
=======
マスタリング済みCD音源からのリマスターでも良い結果が得られることは事実ですが、Mastered for iTunesとして認定されるには、オリジナルのアナログ音源からの高解像度デジタライズが必須であり、既存のリリースからの音質の向上が明確でなくてはなりません。iTunes Storeにリマスター版として登録される曲およびアルバムは、明確な音質の改善がなされているかどうかの審査を受けることになります。
ネーミングで損しているのでは? (スコア:0)
このスレッドでも色々言われていますが、そもそも「Mastered for iTunes」というネーミングが誤解の元では?
たとえば月並みですが(iTunes plus に対しての)「 iTunes HD」などと称すれば良かったのではないでしょうか。
「Mastered for iTunes」ではCDよりもオリジナルマスターに近いという特長がわかりにくいですし、もはやDRM無しなのでiTunes専用データというわけでもないでしょう。また、日本語で言う所の「マスタリング」と誤解される可能性もあります(一般的には(業界人でない限り)人の意思が介在しない只のエンコード工程をマスタリングとは言わない)。
Re: (スコア:0)
そのネーミングだともっと損をすると思う。
Masteredって付いてればマスタリング周りでなんか頑張ったってのが分かるけど、HDだと「ああ、圧縮率下げたとかリサンプルしてみた系ね」みたいに思われかねない。
一般人ってのはそういうレベル。
こんな評価は失笑ものだろ? (スコア:0)
少なくとも不可逆圧縮された音源について、波形を比較してもなんも意味もない。専門家なら、ABXテストした結果を提示しろと言いたい。
Re: (スコア:0)
はあ?可逆圧縮音源を波形を比較するのはもっとナンセンス。
不可逆圧縮だからこそ比較に意味があるでしょ。
それと、Appleの配布しているMastered for iTunes用のツールにはABXテスト用のチェッカーが含まれていますが、なにか?
Re: (スコア:0)
>不可逆圧縮だからこそ比較に意味があるでしょ。
全く意味ないですよ。
マスタ音源 と 非可逆圧縮した音源の比較において、SN比と音質の関係は一致してませんから。
Mastered for iTunesの検証記事 (スコア:0)
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dal/20120305_516563.html [impress.co.jp]
Re: (スコア:0)
上記の記事の続報
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dal/20120312_518174.html [impress.co.jp]
別にツールがバージョンアップしたとかパラメータが変わったわけではなく、24bit/96KHzで納品してもらえばCD(16bit/44.1KHz)で納品されたものよりクオリティが上がりますよ、ということみたい。