iTunes日本法人、アイルランド子会社への資金転送時に源泉徴収を行っていなかったとして追徴課税 28
複雑なスキーム 部門より
Apple子会社で日本でiTunes関連のサービスを行っているとされるiTunes社が国税庁の税務調査を受け、源泉所得税の徴収漏れを指摘さたと報じられている(東京新聞、時事通信、毎日新聞)。iTunes社は追徴課税を納付しており、その金額は120億円にも上るという。
問題とされているのはiTunesソフトウェアの使用料。iTunesはアイルランドのApple子会社が権利を持っており、日本のiTunes社はこれによって得られた売り上げの一部を使用料としてその子会社に支払うという形にしていたそうだ。アイルランドは法人税の利率が低いことで知られており、このようにして売り上げの一部をアイルランドに移すことで、国内で支払う税金を減らす節税効果がある。こういった収益の移転は明確な違法ではないが、今回問題となったのは支払いの名目と金銭の支払い経路。
iTunes社は使用料に相当する金額を直接アイルランドのApple子会社に支払うのではなく、まずAppleの日本法人であるアップルジャパンに別名目で支払う形で処理。また、アップルジャパンはiPhoneなどのApple製品をシンガポールの関連会社から仕入れる際、本来の製品価格にiTunes社から支払われたソフトウェア使用料を加えた金額を上乗せして支払い、シンガポールの関連会社はそこからソフトウェア使用料相当分をアイルランドのApple子会社に支払っていたという。
海外企業へのソフトウェアの使用料支払いについては所得税法で支払いの際に源泉徴収が必要とされている「著作権の使用の対価」と判断されるのが一般的のようだが、iTunes社からアップルジャパンへの支払いは別名目で行われていたために源泉徴収が行われず、またアップルジャパンとシンガポールの関連会社との取引は商品の仕入れとされているため、こちらも源泉徴収が行われていなかった。
国税局はこれらの取引について、実質的にiTunes社からアイルランドのApple子会社への支払いと判断。2014年までの2年間での支払い約600億円を対象に追徴課税を行ったとのこと。