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著作権

EU法務官曰く、外部サイトのコンテンツをWebページに埋め込み表示する行為は公衆送信

タレコミ by headless
headless 曰く、

外部のWebサイトが権利者の許諾を得て一般公開している著作物をWebページに埋め込み表示する行為について、一部の例外を除いて公衆送信に該当するとの見解をEU法務官が示している(EU法務官の意見書TorrentFreakの記事)。

EU法務官の見解はドイツの文化財団Stiftung Preußischer Kulturbesitz(SPK)がビジュアルアート関連の著作権管理団体Verwertungsgesellschaft Bild-Kunst(VG Bild-Kunst)を訴えた裁判に関するものだ。この裁判ではドイツ連邦最高裁判所がEU司法裁判所に事前判決を求めている。

SPKは博物館などのWebサイトと提携してデジタルライブラリーサイトDeutsche Digitale Bibliothek(DDB)を運営している。DDBではさまざまな学術資料をプレビューしたり、提携先サイトで閲覧したりできる。アート作品の場合はプレビュー用に低解像度画像のみを保持しており、著作権保護された作品は著作権者の許諾を得ている。しかし、VG Bild-Kunstが許諾条件として、著作権保護された作品が外部サイトでフレーム(frme/iframe)内表示されないような技術的保護手段の適用を要求したため、不当な要求だとしてSPKがドイツ国内で訴訟を提起した。

裁判の争点は外部サイトでDDBのコンテンツをフレーム内表示することが公衆送信に該当するかどうかという点だ。公衆送信権はEU法で著作者にのみ認められている権利であり、消尽もしない。さらにEU法では加盟国に対し、著作者の公衆送信権を適切に保護するよう求めている。ドイツの国内法では著作権管理団体に対し、誰にでも著作物の使用を合理的な条件で許諾することを義務付けているが、外部サイトでのフレーム内表示が公衆送信に該当するのであれば、VG Bild-Kunstは合法的に技術的保護手段の適用を許諾条件に含めることができる。

外部サイトのコンテンツをWebページに埋め込み表示する方法としてはフレームを使用するほかにimgタグなどを使用する方法もあるが、EU法務官の見解ではWebページを開いた時にコンテンツが自動で表示される場合は埋め込みの方法にかかわらず公衆送信に該当するという。例外はリンクのターゲットにフレームを指定し、ユーザーがリンクをクリックした場合のみコンテンツがフレーム内表示される形の埋め込みだ。この場合はユーザーが元の外部サイトを選択して表示したとみなされるとのこと。なお、YouTubeの動画埋め込みのように利用規約で第三者への許諾を義務付けている場合も除外される。

EU法務官はEU司法裁判所に対し、以上のような意見を踏まえて事前判決を行うよう提案している。EU司法裁判所の判決はEU法務官の意見に沿ったものになることが多いが、2016年には著作権侵害コンテンツにハイパーリンクを張る行為が公衆送信に当たるかどうかについてEU法務官の意見EU司法裁判所の判決が分かれている。

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