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UNIXはシンプルである。必要なのはそのシンプルさを理解する素質だけである -- Dennis Ritchie
ソフトウェアは財物か? (スコア:3, 興味深い)
つまり犯罪かというと微妙です。
----引用ここから----
刑法 第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役に処する。
----引用ここまで----
この場合の「財物」は、今のところ有体物(+電気)に限定されています。
地裁レベルでは情報を財物とした判例もある
[udon]
Re:ソフトウェアは財物か? (スコア:2, 参考になる)
っていうのはみなさんご存知ですよね。
以下はオフトピですが。
財物でないためにPL法が適用されなかったりしますね。
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製造物責任法第2条
1 この法律において「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう。
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Re:ソフトウェアは財物か? (スコア:2, 興味深い)
これに対して財産権とは、物権、債権、無体財産権の三つを指しますが、民法はこのうち物権と債権を取り扱い、無体財産権の規定は民法の特別法である著作権法や特許法など(俗に言う無体財産権法)によって規定されています。
民法上、物という場合には有体物を指し、客体としての物から派生する財産権を物権と言います。物権、債権、無体財産権はそれぞれ派生する権利の客体の性質の違いからそれぞれ定められたものであり、それらを混同すべしというのは非常に危険な議論であると思います。言ってみれば、アプリの一機能を実現するために、OSもコンパイラもノイマン型コンピューターのアーキテクチャーも考え直せと言っているようなモンです。
なお、製造物責任法は民法の特別法の一つで、同法2条1項の規定によりただちに当該ソフトウェアにおける使用約款(契約)が民法上の債務不履行ないしは瑕疵担保を免責されたと解するのは適当ではないと考えます。
Re:ソフトウェアは財物か? (スコア:1)
民法の物と刑法の財物を混同していたわけか...
> それらを混同すべしというのは非常に危険な議論であると思います。
必ずしも混同すべしと考えてはいません。
今の法律って無体財産が物に付属しているって前提があるように思うんですが(間違ってましたら指摘して下さい。)、
このあたりをどうにかすべきだと思っています。
> 同法2条1項の規定によりただちに当該ソフトウェアにおける使用約款(契約)が
> 民法上の債務不履行ないしは瑕疵担保を免責されたと解するのは適当ではない
同意です。
「免責条項が公序良俗に違反しているってことで無効」などもあるかも?って思っています。
しかし、2条1項のために責任を追求しにくいってことは事実だし、
3条のせいで「財産を侵害された」って証明しなければならない(つまりデータ=財産ってことを証明しなければならない)ですから、
製造物責任を問うのは他の「物」と比較して難しいと思います。
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Re:ソフトウェアは財物か? (スコア:1)
例えば物権は物(有体物)から派生する権利で、物を直接的に支配する権利を指します。例えば、物権の中の所有権は特定の物を利用したり処分したりする権利のようにです。
これに対して、債権や無体財産権は物から派生する権利ではありません。債権は例えば、AさんからBさんがPCを買う、という売買契約を結んだときにBさんはAさんにPCを引き渡す権利、AさんはBさんに代金を請求する権利を取得するように、一定の行為を要求する権利を債権と呼びます。
無体財産権は有体物や法律関係から派生する権利ではなく、発明や著作物といった精神的な創作物である無体物から単独で派生する権利です。
わかりやすい例で言えば、ある本を保有するCさんは本に対して所有権を持っていますが、これをDさんに売るよと約束すればDさんは本に対して引渡しを求める権利、CさんはDさんに本の代金を請求する権利と、それぞれ債権を取得します。Dさんに本が引き渡されればDさんは本に対する所有権を取得しますが、代金が未払いの場合は引き続きCさんはDさんに対して債権(代金の支払いを求める権利)を引き続き取得します。
また、Dさんは本に対する所有権を取得したからといって、本にかかれている内容、つまり著作権を取得したわけではありません。ですから、本の内容をコピーしたりそれを配布する権利を取得するわけではありませんので、例えばその本の著者であるEさんの権利を侵害することになります(細かく言えば、この場合EさんはDさんに対して権利侵害を根拠に損害賠償債権を取得し、また別途侵害を停止させることができます)
このように財産権と一口に言っても派生する客体から様々な権利が想定され、特に物(有体物)から派生する権利だけではないです。
>2条1項のために責任を追求しにくい
そもそも、製造物責任法は民法第5章の不法行為法を補完するための法律、と理解していただければありがたいです。
不法行為法とは、「故意又ハ過失ニ因リテ」他人の権利を侵害した場合には損害賠償の責任を負う(不法行為債権を取得する)と規定で、細かく言えば、1,故意または過失のある行為によって、2,ある者の権利を侵害し、3,権利侵害によって損害が発生する、というのが要件になります
ここで問題になるのは、故意または過失が存在しないにもかかわらず権利侵害と損害が発生した場合や、不法行為と損害の因果関係が証明できない場合が結構あることです。典型的な例が製造物の欠陥による損害で、例えばF社の製造したPCの欠陥で火災が発生しGさんが損害を被った場合、GさんはF社のPCの欠陥を証明しなければならないというのはあまりに酷です。製造物責任法は、第2条2項で「通常有すべき安全性」を欠いたものを欠陥と定義し、被害者の証明責任をある程度低減するための法律です。また、責任を負うべき者の定義として、例えばGさんがF社のPCをH社を通じて購入した場合に、民法の債務不履行や瑕疵担保責任によってF社に直接損害賠償を行うことはできませんが、製造物責任法は製造者(F社)に対して直接損害賠償責任を問うことができます。
そういう意味で、製造物責任法は民法の不法行為法を補完する特別法ですが、この規定をもって一般法である不法行為法や売買契約上の債務不履行、瑕疵担保責任を排除するわけではありません。要するに、パッチみたいなもんですね。
製造物責任法が制定されたときに、ソフトウェアの欠陥について損害を問えるようにすべきだ、という議論もありましたが、業界とか計算省からの圧力で立ち消えになった、という話もあります。確かに、ソフトウェアは製造物と同じように欠陥が発生すれば社会的影響は大きいですし、権利の客体の差異をもって過失責任範囲を制限してしまうのは立法上の問題点として指摘されるでしょう。
と、本来の話と脱線してしまったのでudoniumさんの根っこ [srad.jp]の話に戻すと・・・。
ソフトウェアや情報そのものは、窃盗罪の客体としての財物にはあたりません。カナダの判例では、クラッキングによる情報窃盗を盗電罪としていた時期もありますが、現在は特別刑法(刑法の特別法)によって処理されています。
で、今回の例を日本の法律にあてはめてみると著作権法の罰則規定が該当すると思います(著作権法113条2項)
長々と失礼しました
Re:ソフトウェアは財物か? (スコア:1)
おかげで無体財産と有体物の関係が理解できました。
法律関係は大学時代に1講座とっただけの知識しかないので、
きちんと説明していただける方が/.Jにいらっしゃって嬉しいかぎりです。
> 製造物責任法は民法第5章の不法行為法を補完するための法律
ってすっかり忘れていました。
「パッチみたいなもん」ってすばらしい表現です。
> 権利の客体の差異をもって過失責任範囲を制限してしまうのは立法上の問題点として指摘されるでしょう
そうですね。個人的には改善されるべき点だと思います。
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Re:ソフトウェアは財物か? (スコア:1)
著113条2項はあくまで「業務上電子計算機」なんですよね。
故に、私的複製は30条で保護されたままのため、私的な範囲でやる分には問題ないかと。
この場合の「業務上」の区分が問題になるのですが、
少し話がずれますが、この法律が出来た背景に47条の2があるのですが、
これにはPCへのHDDの普及という状況があり、
「HDDにインストール」は複製になり違法か?
という問題が企業で発生しました。
(個人は既に30条で私的複製が保護されているため、この問題はありませんでした)
そのため、
「プログラムを電子計算機での利用に必要限度にコピーするのは合法」(47条の2)。
「しかし、著作権侵害行為による複製物を業務上電子計算機において使用する場合は侵害行為」(113条2項)
となっています。
個人におけるこの辺りを巡って裁判が争われたこと等は、どうせ無いのでしょうが、
法律書(私が読んだのは、著作権法概説(田村善之著 有斐閣))を読みますと、
113条2項があったとしても、私的な環境では30条にて当然に、より自由な複製などの利用が認められる
という考え方でした。
Re:ソフトウェアは財物か? (スコア:1)
罰則規定は119条1項です(113条2項は侵害規定やん)
113条2項の規定は113条1項2号との関係で考えるべきです。113条1項2号は、侵害著作権物の悪意取得者が頒布行為ないしは頒布行為を目的としての所持を侵害行為と認めるものです。
113条2項の規定は113条1項2号の侵害者から取得した悪意の第三者が反復して使用する計算機にプログラム著作権物を導入し使用した場合に著作権侵害行為であるとみなす、いわゆる「みなし侵害」規定で、業務上という文言は個人の侵害行為を免責するものではありません。
つまり、プログラムの違法コピーそのものは著作権侵害になりますが、違法コピー物を違法コピーであると知ったものが、日常的にコンピューターで使用する行為自体が著作権侵害であるという規定です
田村さんの本は読んだことがないのでよくわからないですが、そもそも30条の規定にしても47条の2の規定にしても、侵害著作物の複製は複製そのものが著作権侵害になるので、この場合私的複製にはあたらないと思います。
Re:ソフトウェアは財物か? (スコア:1)
Re:ソフトウェアは財物か? (スコア:1)
では、前述の田村さんの本から少し引用させてもらいます。(第2章 著作権侵害 11 著作権侵害と主張するための要件)
113条2項は,業務上の使用行為について適用されるものであり,
家庭内でプログラムを使用する行為には及ばない。現在,一般に普及している
技術の水準では,家庭内での使用行為に禁止権を押し及ぼしても実効性のない
権利になるだけだからである。
>侵害著作物の複製は複製そのものが著作権侵害になるので、この場合私的複製にはあたらない
私的複製は、複製元は侵害された著作物でも構わないはず。(改正される可能性が高いとも聞きますが)
この考え方で行きますと、例えばWAREZ(Internet上で不法にアップロードされたソフトウェア)をダウンロードするだけでも、侵害著作物の複製であり著作権侵害になりますよね?
でも、弁護士の方もここで [houtal.com]、WAREZのダウンロードについて、
「著作権者の複製権の侵害となるかですが、私的使用を目的とする複製は違法ではない(著30条)」
と答えられています。
著作権法的には、30条だけで、iPodにソフトコピーは合法かと。
Re:ソフトウェアは財物か? (スコア:1)