独立修理業者に正規部品を提供するAppleの修理プログラム、修理業者にも顧客にも侵襲的な契約との批判 10
Appleが法か 部門より
headless曰く、
Appleが昨夏発表した独立修理業者に正規部品を提供する修理プログラム「Independent Repair Provider(IRP)Program」の契約内容について、プログラムに参加する修理業者にとってもその業者を利用する顧客にとっても侵襲的だという批判が出ている(Motherboard、Mac Rumors、The Verge)。
Motherboardが入手したIRPプログラム参加前に署名する必要のある契約書の写しによると、参加業者は営業時間内に事前通告なく行われるAppleの監査をいつでも受け入れる必要があり、Appleは業者がプログラム参加をやめた後も監査する権利を5年にわたって保持するといった文言が含まれるという。
監査はAppleが「禁ずる製品」を使用していないかどうかを調べるもので、模造品のほかAppleの知的財産を侵害する製品やサービスも対象だという。Appleが「禁ずる製品」を2%以上使用していると判断した場合、監査期間中の取引1件当たり1,000ドルをAppleへ支払う必要があり、調査費用の負担も必要になる。さらに、業者は名前や電話番号、住所を含む顧客の情報をAppleの求めに応じて提出する必要があるとのこと。
その一方で、IRPプログラム参加業者はApple正規サービスプロバイダー(AASP)だと間違われないよう明確に掲示する必要があり、顧客はAppleが修理結果を保証しないことを理解したという同意書を求められる。正規部品についてはAASPと同額で入手できるものの、返品が認められるのは初期不良に限られるようだ。独立修理業者からは正規部品が入手できることを歓迎する声がある一方、Appleに強く支配される契約内容を見て参加を思いとどまったという業者も多いという。
Motherboardに依頼されて契約内容を確認したEFFのKit Walsh氏は、角の丸いスマートフォンのデザイン特許を侵害されたと主張してAppleがSamsungを訴えたことを引き合いに出し、Appleは同社の知的財産権を非常に幅広く解釈することで悪名高いと指摘。この契約に合意すればApple製以外のデバイスを修理する場合に(Appleが「禁ずる製品」だと主張する)危険を覚悟する必要があると述べたという。Motherboardの記事では「修理する権利」法制化に反対する業界団体がIRPプログラムを例の一つにして「消費者には既に修理の幅広い選択肢がある」と述べたことなどを挙げ、AppleがIRPプログラムを「修理する権利」法制化を阻止する道具として利用しているように見えるとも指摘している。