フランスの裁判所、市民団体にApple Store店内で抗議デモを行う権利を認める 14
製品紹介のデモではない 部門より
フランス・パリ大審裁判所は23日、市民団体ATTACにはApple Store店内でデモ行為を行う権利があるとの判断を示した(ATTACのプレスリリース、裁判所文書PDF、Mac Rumors、9to5Mac)。
この裁判はAppleの租税回避をめぐってApple Store店内でデモ行為を行ったATTACをApple Retail Franceが訴えていたものだ。ATTACは欧州委員会がAppleに命じている最大130億ユーロの追徴課税支払いを求め、昨年12月2日にフランス国内各地のApple StoreなどAppleの小売店でデモを実施。パリのApple Storeオペラ座店ではATTACのメンバー70人ほどが店内でデモ行為を行い、数時間にわたって閉店する騒ぎとなったという。
両者は話し合いの場を持ったが、ATTACはAppleが追徴課税の支払いに応じなければ再度デモを行う姿勢を示す。そのためApple Retail Franceは、3年にわたるATTACのメンバーの店舗侵入禁止や、違反した場合には15万ユーロの罰金を課すことなどを求めて大審裁判所に提訴していた。
これについて裁判所では、店内に侵入したメンバーが暴力行為や来店客の妨害をすることなく、ガラス扉などに書いた文字もデモ終了後に洗い落としていることなどを指摘。ATTACは追徴課税支払いの要求や租税回避への反対といった公共の利益に関するキャンペーンを行っており、表現の自由を制限する理由としては不十分だと判断した。さらに、Apple Retail Franceに対しては、ATTAC側の裁判費用として2,000ユーロの支払いも命じている。
なお、欧州委員会からAppleへの追徴課税を命じられたアイルランド政府は昨年12月4日、追徴額を預託することでAppleと合意に達したことを明らかにしており、先日は預託が今後2か月以内に完了するとの見方を示している。ただし、Appleとアイルランド政府は追徴課税に対する異議申立を取り下げてはいない。