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ざっと調べてみたところだと各国の自殺率は10万人あたり(以下同じ),日本が24.4人(2007),台湾は13.5人(2002),香港は15.2人(2006),中国は13.9人(1999),比較のためapple本社のアメリカは11.0人(2005)。(参考)中国農村部 22.5人,中国都市部 6.7人(1999)。資料[A],[B],[C]より
Foxconnの従業員は13〜80万人と差があるが[D]が,[E]を採用して486,000人とする。また,全従業員の9割が工場勤務と仮定すると43,740人。自殺者は[F]より1-5月で10人(重症2人除く),年換算すると24人となる。[G]式よりFoxconnの自殺率は「5.5人」。したがって,国と企業を強いて比較すると低水準となる。ただし,従業員数を13〜80万人で変化させると 3.3〜20.5人と幅が出る。後は正確な工場従業員数のデータが必要(自殺者の「正確な数」も…)。
単純な数字の比較の他に注目したいことは以下の3点
まず,国別の男性自殺者年齢構造が[A]の資料より日本では55-64歳の自殺が多く,他の国では75歳以上の高齢者の自殺率が最も高い。対して今回のFoxconnの自殺問題では10-20代の男性である点。次に,各国のデータでは程度の差こそあれ,比較的広い空間=国土での出来事である。対して今回の自殺問題は工場という狭い空間,人間関係の中で発生している点。最後に,各国データでは社会の階層や階級,置かれた立場,動機などある程度の多様性・複雑性が考え得る。しかし工場内は,かなり均質的な労働環境,生活環境に置かれており,情報や意識の共有が短期的に発生し,このままだとさらなる自殺が予測される点。
長文失礼。
A http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2770.html [ttcn.ne.jp]B http://www.shirakami.or.jp/~umeyu/0087.htm [shirakami.or.jp]C http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2772.html [ttcn.ne.jp]D http://www.google.co.jp/ [google.co.jp] で Foxconn+従業員 と検索E http://money.cnn.com/magazines/fortune/global500/2009/snapshots/11204.html [cnn.com]F http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1006/03/news035.html [itmedia.co.jp]G (10 / 5 * 12) [自殺者数を1年換算] ÷ (486000 * 0.9) [従業員数から工場勤務者数を推定] * 100000人
ジョブズも国の平均より低いって言ってるんだけど、個人的な日本のイメージで言えば職があるのに自殺って結構な違和感。
中国で言えば、農村部での自殺が多いって聞くし、そこらへんをごっちゃにた平均と比べちゃダメだと思う。
#「職業 自殺」でググれば日本のデータは出てくるけど中国はどうなんだろ
古典的な研究にデュルケームの「アノミー的自殺」という概念があります。
個人の欲望が肥大化するとき,それを達成するための手段が社会用意されていない(不備がある)とき,個人に焦燥や不満,葛藤や幻滅などの作用が働き,自殺しやすい状況ができあがると説明します。これは特に社会が変動しているときに起こりやすく,好況だとむしろ欲望が活性化されるようです。
今回の件をこの「アノミー的自殺」に沿って説明すると,農村から出てきた若者が,低賃金で長時間労働させられ,さらにずっと工場に缶詰のような状況に置かれた場合,念願の工場に採用され,都市的な生活にあこがれながらも,目の前の高性能デバイスがありながらも自分の給料では決して手に届かないと悟ったとき,欲望と達成可能性の齟齬が生じて自殺に至るのではないかと仮説が立てられます。
日本の場合は借金や生活苦が原因が多いようで,幸せな暮らしという欲望と現実の借金地獄という状況がアノミーになるのではないでしょうか。さらに生命保険や感情的な道徳論で「死んだらチャラ」というインセンティブが働くのが追い打ちをかけているように思えます。確かにチャラになるので遺族は借金から逃れられるけどきっと喜ばないよ。
あと,自殺率の都市農村の差は(参考)中国農村部 22.5人,中国都市部 6.7人(1999)みたいです。
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アレゲはアレゲを呼ぶ -- ある傍観者
ちょっと待て (スコア:0)
ざっくりと、1万人に3人くらいが毎年自殺している。
で、foxconnでは何人働いているんだい?
Re:ちょっと待て (スコア:5, 参考になる)
ざっと調べてみたところだと
各国の自殺率は10万人あたり(以下同じ),日本が24.4人(2007),台湾は13.5人(2002),香港は15.2人(2006),中国は13.9人(1999),比較のためapple本社のアメリカは11.0人(2005)。(参考)中国農村部 22.5人,中国都市部 6.7人(1999)。資料[A],[B],[C]より
Foxconnの従業員は13〜80万人と差があるが[D]が,[E]を採用して486,000人とする。また,全従業員の9割が工場勤務と仮定すると43,740人。
自殺者は[F]より1-5月で10人(重症2人除く),年換算すると24人となる。[G]式よりFoxconnの自殺率は「5.5人」。したがって,国と企業を強いて比較すると低水準となる。
ただし,従業員数を13〜80万人で変化させると 3.3〜20.5人と幅が出る。後は正確な工場従業員数のデータが必要(自殺者の「正確な数」も…)。
単純な数字の比較の他に注目したいことは以下の3点
まず,国別の男性自殺者年齢構造が[A]の資料より日本では55-64歳の自殺が多く,他の国では75歳以上の高齢者の自殺率が最も高い。対して今回のFoxconnの自殺問題では10-20代の男性である点。
次に,各国のデータでは程度の差こそあれ,比較的広い空間=国土での出来事である。対して今回の自殺問題は工場という狭い空間,人間関係の中で発生している点。
最後に,各国データでは社会の階層や階級,置かれた立場,動機などある程度の多様性・複雑性が考え得る。しかし工場内は,かなり均質的な労働環境,生活環境に置かれ
ており,情報や意識の共有が短期的に発生し,このままだとさらなる自殺が予測される点。
長文失礼。
A http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2770.html [ttcn.ne.jp]
B http://www.shirakami.or.jp/~umeyu/0087.htm [shirakami.or.jp]
C http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2772.html [ttcn.ne.jp]
D http://www.google.co.jp/ [google.co.jp] で Foxconn+従業員 と検索
E http://money.cnn.com/magazines/fortune/global500/2009/snapshots/11204.html [cnn.com]
F http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1006/03/news035.html [itmedia.co.jp]
G (10 / 5 * 12) [自殺者数を1年換算] ÷ (486000 * 0.9) [従業員数から工場勤務者数を推定] * 100000人
Re: (スコア:0)
ジョブズも国の平均より低いって言ってるんだけど、
個人的な日本のイメージで言えば
職があるのに自殺って結構な違和感。
中国で言えば、農村部での自殺が多いって聞くし、そこらへんをごっちゃにた平均と比べちゃダメだと思う。
#「職業 自殺」でググれば日本のデータは出てくるけど中国はどうなんだろ
Re:ちょっと待て (スコア:1)
古典的な研究にデュルケームの「アノミー的自殺」という概念があります。
個人の欲望が肥大化するとき,それを達成するための手段が社会用意されていない(不備がある)とき,個人に焦燥や不満,葛藤や幻滅などの作用が働き,自殺しやすい状況ができあがると説明します。これは特に社会が変動しているときに起こりやすく,好況だとむしろ欲望が活性化されるようです。
今回の件をこの「アノミー的自殺」に沿って説明すると,農村から出てきた若者が,低賃金で長時間労働させられ,さらにずっと工場に缶詰のような状況に置かれた場合,念願の工場に採用され,都市的な生活にあこがれながらも,目の前の高性能デバイスがありながらも自分の給料では決して手に届かないと悟ったとき,欲望と達成可能性の齟齬が生じて自殺に至るのではないかと仮説が立てられます。
日本の場合は借金や生活苦が原因が多いようで,幸せな暮らしという欲望と現実の借金地獄という状況がアノミーになるのではないでしょうか。さらに生命保険や感情的な道徳論で「死んだらチャラ」というインセンティブが働くのが追い打ちをかけているように思えます。確かにチャラになるので遺族は借金から逃れられるけどきっと喜ばないよ。
あと,自殺率の都市農村の差は(参考)中国農村部 22.5人,中国都市部 6.7人(1999)みたいです。